「国語の読解問題って、どうやって勉強したらいいんですか?」
「選択肢問題では、消去法で2つまで絞れるんですけど、そのあと、まちがえちゃうんです」
とにかく、国語の読解問題が苦手な生徒さんやがんばっているんだけど正解できない生徒さんは多いです。
その反面、おそらく特段の対策をしていないのに、正解できてしまう生徒さんもいます。いわゆる、ノー勉でも現代文の読解なら得点できてしまう。このことについては、私自身の経験則と様々な知見を集めて、今後ご報告したいと考えています。
今日は、『短期的・中長期的にどのようなことをしたら、国語の読解問題を解く力がつくか』について述べていきます。
読解問題対策は、今、あなたがどんな時期なのかによります。
① 試験まで時間がない。例えば、高校入試・大学入試であれば、試験1ヶ月前を切った。
→ あきらめてください。
② 試験まで半年くらいはある。
→ 基本レベルの問題集と過去問を“1日1長文”のペースで取り組みましょう。
③ 試験まで1年以上ある。例えば、高校1~2年生・中学1~2年生。
→ 1.基本レベルの問題集から少しずつレベルを上げて、練習していきましょう。
2.普通の新聞を読みましょう。
3.新書を読みましょう。
4.自分の好きな本を読みましょう。
④ 小学生、中学1~2年生。
→ 1.学校の図書室または地域の図書館を利用しましょう。
2.普通の新聞を読みましょう。
3.自分の好きな本を読みましょう。
国語(現代文)の読解問題には、大きく分けて2種類の文章が扱われます。小説(物語文)と論説文(説明文)です。大学入試共通テストでは、昨年度(2025年度)入試から、資料の読み取りを含めた読解問題が出題されていますが、入試においてはまだ少数派なので、ここでは触れません。
①の時期に来ている人(入試まで1ヶ月をきった)
これまでに、国語(現代文)の読解問題の演習をまったくやってこなかった人、または、さんざんやったけど、それでもできない人。
≪読解問題で得点することはあきらめて、漢字や文法・文学史などで得点するための対策に集中しましょう。≫
入試は合計得点です。国語以外の教科もあると思いますから、他の教科の得点を上げることを考えましょう。ただし、「受験校の過去問」を「毎日一長文」読んで、正答と解説を読んでおくと良いでしょう。自分で考えて解く必要はありません。
②の時期に来ている人(試験まで半年ある。冬の入試なら、夏休みか2学期が始まるタイミング)
≪これまでに取り組んできた問題集があれば、それをやり続ける。さらに、そのシリーズのレベル違いに取り組むこと。≫
≪受験校の過去問に取り組むこと。≫
それぞれから「毎日一長文」を心がけてください。
なぜ、それぞれから毎日一長文なのか?
受験校の過去問は解説が詳しくない場合やまったく無い時もあります。解説を読んで、自分の思考を受験国語の読解問題向けに修正していくことが必要です。さらに、志望校で出題されてきた文章に読み慣れておくことも必要です。だから、一般的な問題集と過去問、それぞれから一日一長文を読んでもらいたいです。
新たに参考書や問題集に取り組む必要はないと思いますが、何も持っていなければ、1冊だけ薄いものから始めてください。その際、必ず解説があるもの、できれば、選択肢の絞り込みの着眼点が解説されているものを選ぶと良いでしょう。
国語の読解問題の解き方は、どの参考書を見ても共通しています。
読解問題の解き方と基本レベルの問題がいっしょになった問題集としては、
現代文読解基礎ドリル(駿台受験シリーズ) 池尻俊也著(標準レベルもあります。)がお奨めです。
レベル別に取り組める問題集としては、
大学入試全レベル問題集現代文(旺文社)梅澤眞由起著
レベル1<基礎>、レベル2<共通テスト>、レベル3<私大標準>までは、やっておくと読解の基礎は身につくと思います。
レベル4<私大上位>、レベル5<私大最難関>、レベル6<国公立大>は、志望校の試験問題と難易度や文章の傾向がかけ離れていないなら取り組んでも良いと思います。
私は、梅澤眞由起先生の解説はわかりやすいと思います。
読解力に不安がある人にとって、難しく長い解説はそれ自体を理解することも不安です。だから「解説がわかりやすいこと」はとても重要です。
「なぜ、その選択肢を選ぶのか」、「なぜ、その選択肢が間違っているのか」に触れているものが良いと思います。
その点、梅澤先生の解説は、この問題集シリーズに限らず、わかりやすくポイントを明らかにして説明していると思います。
また、長文を読み慣れていないことも読解問題が苦手な一因ですから、受験期は「毎日読む」ことに努めてください。一長文でかまいません。過去問1回分ではありません。最初は時間を意識せず、とにかく内容把握をすることを意識してください。読めない・意味がわからない言葉があれば、調べてください。
①②は、試験までの時間が限られている場合です。
国語は、普段使っているからこそ、その試験対策は短期間・短時間では難しいところがあります。
また、自分の常識や当たり前、感性なども読解問題では邪魔になるときがあります。言葉や文章のインプットが多くて、それでいて、文章に書かれていることを素直に受け止めることができる力。これが、国語の読解力の基礎になると考えています。
③④のステージにいる人は、このことを踏まえて、読解問題対策に取り組む時間がたっぷりあります。③の1:「基本レベルから、問題集に取り組みましょう」
②で紹介したようなレベル別問題集がお奨めです。
大学入試用ではなく、高校入試用の標準レベルや難関校レベル(都立高校でいえば、自校問題作成校対策用の問題集)に取り組んでから、大学入試用に入るのも良いと思います。
大学入試の基本レベル = 高校入試の難関校レベル と言えるでしょう。
③の2と④の2:「普通の新聞を読みましょう」
普通の新聞=「一般紙」を読んでほしいという意味です。
小中学生用の子供新聞ではなく、一般紙です。
できれば、紙の新聞を広げて眺め渡して、「一日に一記事」だけでもかまわないので、毎日読んでほしいです。
③の3:「新書を読みましょう」
これは「論説文」対策です。推薦入試等の小論文対策にもなります。最初は興味が持てそうなテーマのものからでかまいません。新書に読み慣れてきたら、目先を変えて違う分野にも挑戦してみてください。時間があるので、いろいろな分野を深堀りできると思います。
中高校生にお奨めのわかりやすい新書のシリーズ
『ちくまプリマー新書』、『岩波ジュニア新書』
中高校生がターゲットの新書シリーズなので、文章がわかりやすく、興味が持てるテーマが多い。
『ちくま新書』、『岩波新書』、『中公新書』
一般向け用ですが、中高校生なら読むことができるものもたくさんあると思います。
『ブルーバックス』(講談社)
理系のテーマを扱ったもので、科学の広い範囲について、その歴史やこれからの最先端をわかりやすく、まとめて知ることができると思います。
③の4と④の3:「好きな本を読みましょう」
「新聞や新書」などにもしかしたら面白味を感じられないかもしれません。それでも「読むこと」から遠ざからないでほしいので「自分の読書の中心は好きな本を読むこと」で、ついでに「新聞や新書」があると思ってほしいです。
④の1:「学校や地域の図書室・図書館を利用しましょう」
お金をかけずに多読ができるのでおすすめです。本選びに迷って失敗したかもと思っても、費用をかけないので安心して選べます。
今日は、中高校生の時期別の国語(現代文)の読解問題対策について概論的になりますが、述べてきました。今後、具体的な問題への取り組み方や解くコツに触れる機会を設けたいと考えています。