山井教雄 著 講談社現代新書
今、まさにイスラエルとイランの間に戦闘が起き、そこへアメリカ合衆国が軍事介入している。歴史は、過去ではなく「連続する今」の積み重ねと強く感じる。
本書は、コマ割りされた「まんが」ではないが、大きめで多めのイラストと、話者を明確にしているところは「まんが」形式になっている。そういう意味で、新書ではあるが読み進めやすい。
宗教が政治体制にまで影響することに、信仰心が薄れた日本人は理解が及ばないかもしれない。本書では、旧約聖書に遡り、ギリシャ、ローマ一帯の盛衰、アラブの春についても解説されている。
話は、本書から逸れるが、NHKの教育番組で、ヤマザキマリ氏がアレキサンドロス大王の食事を通して、彼の大遠征が遺したことをお話されていたが、本書にも解説されている。「若き英雄」が目指した世界を実現し恒久化するには、大王の人生は短かった。
小中高を通して、日本史は通史として学んできているが、世界の国々の歴史は断片的に学んでしまったので、苦手意識が強い。しかし、他国の人々を理解するには、歴史を知ることが初めの一歩であろう。
パレスチナ問題あるいは中東戦争については、手塚治虫氏の「アドルフに告ぐ」や池上彰氏の「そうだったのか! 現代史」でもわかりやすく触れられている。
本書は2015年までになっているので、この続きは、リアタイで注視していきたい。
紙版では「正」と「続」は2冊に分かれていて、「正・続」を1冊にまとめたものは、今のところ電子書籍版でしか入手できないようなので、購入するときは注意が必要。
小学高学年から読めます。中学生で、高校生で、と繰り返し読むことをお奨め。